今月開始のレジ袋有料化は“なんの意味もない”…報じられない空前のプラスチック大増産(Business Journal)

「Getty Images」より


 7月1日からレジ袋(プラスチック製買物袋)の有料化が、一斉にスタートした。ところが、レジ袋を有料にする店と無料にする店とに、真っ二つに分かれた。

 イオンやイトーヨーカドーなどのスーパーマーケットやセブンイレブンなどのコンビニエンスストア(北海道のセイコーマートは無料)、家電量販店、ドラッグストア、ホームセンター、ディスカウントストア等のチェーンストアは、ほとんどが有料化に踏み切った。一方、マクドナルド、ケンタッキー・フライド・チキン、吉野家、すき家、松屋、すかいらーく、サイゼリヤ等の飲食店のチェーンストアでは、無料にしているところが多くなっている。

 どうしてこんな差が生まれたのか。まず、有料化の対象外の条件を見てみよう。

 有料化が義務付けられたのは、プラスチック製のレジ袋なので、紙袋は対象外だ。有料でも無料でも問題ない。そのほか、対象外のレジ袋が3種類ある。これらはすべてプラスチック製だが、その素材の特性等の理由から無料で提供してもかまわない。もちろん、有料にしてもよい。有料化の対象外とされた理由は次の通りだが、考えられる問題点も指摘しておく。

(1)プラスチックのフィルムの厚さが50マイクロメートル以上のもの

 50マイクロメートルは0.05mm。今まで使われてきたレジ袋は、0.01mm~0.02mm程度なので約5倍の厚さということになる。それだけ厚ければ、マイ袋として繰り返し使えるので対象外。

<問題点>

 多少分厚くなっても、マイバッグほど繰り返し使われるかどうかは疑問。1~2回の再利用後、ごみ袋として廃棄されれば対象外にした効果はない。

(2)海洋性分解性プラスチックの配合率が100%のもの

 海の中で、微生物の働きや加水分解により低分子化された後、微生物によって代謝され自然界に循環する。海洋プラスチック問題の解決に寄与するので対象外。

<問題点>

 冷たい海の中で本当にすべて分解されるのか、分解されたとしても何年、何十年で分解されるのかわかっていない。

(3)バイオマス素材の配合率が25%以上のもの

 動植物に由来する有機物である資源(原油、石油ガス、可燃性天然ガス、石炭を除く)で製造されたバイオマス素材は、カーボンニュートラルなので対象外。カーボンは炭素、ニュートラルは中立という意味である。植物由来のバイオマス素材を燃やしても、植物は大気中の二酸化炭素を吸収して育っているので、その植物を燃やして二酸化炭素を発生させても、大気中の二酸化炭素の量は変わらないとされる。

<問題点>

 100%バイオマスでない限り分解されるかどうか疑問。カーボンニュートラルについても、環境省のレジ袋有料化検討小委員会で、ある委員が下記のような発言をしている。

~環境省・レジ袋有料化検討小委員会(第3回)議事録より抜粋~

 確かにバイオマスプラスチックはカーボンニュートラルですので、そういうメリットがあることは、それは皆さんもよくご存じのとおりなのですが、環境負荷は別にそれだけに限ることではなくて、資源採取、あるいは製造段階など、ライフサイクル全体をみた場合に、本当にバイオマスプラスチックが環境負荷の少ないものであるかどうかということをしっかりと検証、評価していくことが必要だと思っております。

 原料はバイオマスということなのですが、例えば、食料として利用できるようなものをプラスチックの原料とするのであれば、これは改めてSDGsを持ち出すまでもないのですけれども、ゴール2の飢餓をなくすという、この大目標に反するのではないかということも考えます。あるいは、バイオマス原料を確保するために、例えば森林が伐採されているというようなことが仮に起こった場合には、そういう新たな自然破壊につながっていないということをしっかり検証していく必要があると思います。それから非常にシンプルに、25%では含有率が低いのではないかということ、そのようなご意見も当然出てくるかと思います。

 ~以上、抜粋~

■プラスチック製袋の販売量は減らない

 それぞれ問題点はあるにしろ、環境負荷を軽減するということで有料化の対象外になっている。ところが、(1)はプラスチックが分厚くなるのでコストが高い。(2)は実用化されているというほど流通していない。一番流通しやすいのが(3)である。飲食店等が無料で提供しているレジ袋は、筆者が確認しているものでは(3)のバイオマス素材25%以上のものである。

 では、有料にしている店はすべて従来のプラスチックかというと、そうとは限らない。ホームページで確認すると、イトーヨーカドーは「ポリ袋」になっているが、イオンは「バイオマス素材を配合したレジ袋」、サミットは「バイオマス原料50%配合」となっている。イオンやサミットは、無料で提供してもかまわないが有料にしている。

「有料にすることでレジ袋の辞退率を高める」という意図があるのだろうが、レジ袋を辞退した人が、ごみ袋が足りないといってプラスチック製のごみ袋を別途購入すれば、レジ袋が減ってもプラスチック製の袋は減らない。

 そもそも政府は、レジ袋有料化の目的を「普段何気なくもらっているレジ袋を有料化することで、それが本当に必要かを考えていただき、私たちのライフスタイルを見直すきっかけとする」(経済産業省のホームページより)としている。レジ袋有料化の目的が、プラスチックごみ削減だとは言っていない。それは、レジ袋が減ってもプラスチックごみが減るとは限らないからだ。

 そこで政府は、「バイオマスプラスチックの再生可能資源を用いた買物袋への転換を推進する」ために、無料基準も25%以上から50%、60%の配合率に高めようとしている。バイオマス素材のレジ袋を無料で提供したほうが、バイオマス素材のレジ袋が増えプラスチック100%のレジ袋が減るので、かえって環境負荷の軽減になるだろう。

 有料であれ無料であれ、レジ袋をバイオマス素材に転換することが事業者には求められている。それを有料にするか無料にするかは、事業者の判断だ。

■新型コロナの影響でプラスチックブーム

 では、なぜ今まで無料で提供していたレジ袋を、小売店は有料にするのか。

 無料だったレジ袋を有料で販売すれば、辞退率70%としても、事業者はレジ袋購入代(仕入代)が7割減り、新たにレジ袋販売という売上が増加する。今まで年間1億枚のレジ袋を無料配布していれば、これからは年間3000万枚を仕入れるだけで済むので、支出は7000万枚分、1枚2円とすると1億4000万円減る。一方、3割は有料化で販売できるので、3円で売ると売上が3000万枚×3円=9000万円。利益は、1枚当たり1円とすれば3000万円になる。レジ袋有料化という法律改正で支出は減り、売上と利益は増える。三重の得となる。店が儲ける一方、その負担はすべて消費者が背負うことになる。

 飲食チェーン店で無料提供できることが、どうしてほかの業態の小売り店ではできないのか。それは、レジ袋で儲けたいからだ。

 そもそも、消費者はレジ袋が有料化になっても、プラスチック製の袋は必要だ。それを、レジで買うか、どこか安い店で買うだけのことである。レジ袋が有料化されたといっても、プラスチックごみが減るわけではない。

 新型コロナウイルスの影響で、マスク、フェイスシールド、衝立、医療用機材をはじめとする空前のプラスチックブームである。スーパーではバラ売りがほとんどなくなり、トレイやパック詰めの商品が多くなった。衛生面では非常に良いことだが、プラスチックごみ問題の観点からは逆行している。出前(デリバリー)や持ち帰り(テイクアウト)、ネット販売で使われる包装資材もほとんどがプラスチックだ。

 レジ袋は騒がれているが、コロナによるプラスチックの増産はほとんど話題にならない。やりやすいところからという面もあるのだろうが、レジ袋の有料化はいったいどんな効果があるのだろう。

(文=垣田達哉/消費者問題研究所代表)


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